ヤフーのCSOが書いた「イシューからはじめよ」を読んで面白かったのでまとめた。
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
著者:安宅和人さん
マッキンゼーで10年くらい働き、現在はYahoo!JapanのCSO(チーフストラテジーオフィサー)。
以前書いた、Yahoo!の爆速経営 レヴューにも名前が出てきました。
以下、まとめと感想です。
イシューとは何か?
以下のAとB両方を満たすこと。
A) 2つ以上の集団の間で決着のついていない問題
B) 根本に関わる、もしくは白黒がはっきりしていない問題
バリュー(価値)のある仕事とは何か?
色々考えられますが、一見正しく感じるものに「ほかの誰にもできない仕事」というものがあると思います。
しかし本書では、
ほかの誰にもできない仕事というのは、通常の場合、殆ど価値を持たない仕事だ。
価値がないからこそ、誰もやってこなかったのだ。
と書いています。
バリューの本質は2つに分けられる。
-
イシュー度 =「自分のおかれた局面でこの問題に答えを出す重要性の高さ」
- 解の質 =「そのイシューに対してどこまで明確に答えを出せているかの度合い」
この両方が高くなければバリューのある仕事とは言えない。
※僕が作った超見やすいマトリクス図があるので参考にしてください
では、どうすれば「バリューのある仕事」が出来るようになるのか?
絶対にNGなのは、
一心不乱に大量の仕事をして右上に行こうとすること。
「労働量によって上にいき、左回りで右上に到達しよう」というアプローチを
作者は「犬の道」と呼んでいます。
マトリクスのヨコ軸である「イシュー度」の低い問題にどれだけたくさん取り組んで必死に解を出したところで、最終的なバリューは上がらずに疲れていくだけ。
この努力と根性があれば報われるという戦い方では、いつまでたっても右上のバリューのある領域には届かない。
多くの仕事を低い質のアウトプットで食い散らすことで、仕事が荒れ、高い質の仕事を生むことができなくなる可能性が高い。
つまり「犬の道」を歩むと、かなりの確率で「ダメな人」になってしまう。
個人的に次の文が1番刺さりました。
100歩譲って、あなたが人並みはずれた体力と根性の持ち主で、"犬の道"を通って成長できたとしよう。
だが、その後、あなたはそのやり方でしか部下に仕事を教えることが出来なくなってしまう。
つまりリーダーとしては大成できない
本当に右上の領域(バリューのある仕事)に近づこうとするなら、
まずは横軸の「イシュー度」を上げ、その後に縦軸の「解の質」を上げていく。
いきなり核となる問題に絞込むことが出来なくても、10分の1くらいには出来るはず。
仕事を始めたばかりでこの判断ができないなら、自分の上司なり指導教官なりに聞けばよい。
「自分が思いついた問題の中で、本当に今答えを出す価値のあるものは何でしょうか」と。
通常この判断が出来るのが上司であり指導官のはずだ。
これでひとつの問題に投下出来る時間は簡単に10~20倍になる。
次に絞り込まれたなかで特に「イシュー度」の高い問題から手をつける。
この場合、「解きやすさ」「取り組みやすさ」といった要因に惑わされてはならない。
あくまで「イシュー度」の高い問題からはじめる。
感想
かなり耳が痛い内容になっています。
1番やってはいけないことは、
自分に部下・後輩が出来たときに「自分と同じ苦労を味あわせる」ことだと思います。
つまり、「おれも苦労したんだから、お前も苦労しろ」という考えです。
何処かの起業家が、部下は己(上司)を超える者と言っていました。
本書では「悩む」と「考える」は違うと説いています。
「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに「考えるフリ」をすること。
「考える」=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること。
何も考えずに動くだけでは結果的に時間の無駄使い(犬の道)になるからです。
つまり、何をするのがベストなのか?という答えを出すまで考え、
そこからは悩んでいないで動けということです。
最後に作者がアメリカの教授に言われて、今も大切にしているという言葉を引用します。
どんな説明もこれ以上出来ないほど簡単にしろ。
それでも人は分からないと言うものだ。
そして自分が理解出来なければ、"それを作った人間のことを"バカだと思うものだ。
人は決して自分の頭が悪いなんて思わない。
読んで良かったです。
また少ししたら読み返そうと思います。